介護施設で稀に起きる尊厳の問題
介護の仕事は相手のプライバシーに深く関与する機会が多いため、尊厳への配慮が不可欠である。
排泄や入浴は親しい人であっても見られたくないと思うものだ。第三者ならなおさら見られたくないだろう。だが介護ではその第三者である介護職員にそれらを手伝ってもらうことになる。そのため、高齢者は非常に大きなストレスを抱くことになるのだ。尊厳を傷つけないように配慮する姿勢が重要になる。
しかし実際は高齢者に不快感を抱かせたり羞恥心を感じさせる介助作業が行われることがある。多忙であることを理由にプライバシーを尊重する介助作業が省かれることがあり、カーテンや仕切り板などで目隠しをするという簡単な作業すら行われないこともあるようだ。そのような相手の尊厳を軽視する質の悪い介助作業が放置されている劣悪な介護施設も稀に存在するのである。
介護に関するトラブルには様々なものがあるが、中でも要介護者への配慮に欠けた粗雑な介助作業は大きな問題になっている。周りに人がいる中高齢者を裸で放置したり、失禁した高齢者を罵倒するなど、高齢者の尊厳を踏みにじる行為が発生しているのだ。
しかしだからといって他の介護施設に移りたくても、多くの介護施設は満室の状態なので他の施設に移るのは簡単ではない。在宅介護も困難なことから、高齢者の尊厳が軽視されていることを承知しつつも介護施設の利用を続けるケースが多いのも事実である。
人の尊厳は明確な定義が無く、人によって様々であることも問題解決が進まない理由のひとつだ。だが最低限、守らなければならないことはある。今一度、高齢者の尊厳について見つめ直す必要があるだろう。